6. ウール製品のリサイクル
(1)企業内のリサイクル
製品の製造・加工工程において発生した原料屑は、副産品として回収し、その企業内の他の製品に活用する形態が古くから行われて来ました。特に、原料コスト比率の高い羊毛紡績においては梳毛工程で発生した落毛、ノイル等は紡毛糸の原料として再利用されています。
(2)企業間のリサイクル
縫製会社で発生した繊物の裁断屑は回収・反毛して特紡、ガラ紡、紡毛等の原料にしたり、ニードルパンチ、フェルト、不織布等の原料にも再利用されて来ました。
(3)衣料製品のリサイクル
兄貴のお古を弟が、姉のお古を妹が、兄弟・姉妹が順送りに同じ服を使うのは、一般家庭においてはごく最近まで当然のことでした。今では中古衣料のバザーや、リサイクル衣料として復活しつつあります。
上記の(1)、(2)のようなリサイクルが、ウールの業界においては当たり前のこととして永年行われて来ました。しかし、回収費や輸送コストの大幅な上昇、人件費の高騰などで処理コストが著しく高くなり、安価な海外製品の流入に伴い、従来のリサイクルでは経営が成り立たなくなりました。今までは”有価物”として流通していた商品が、産廃業者に処理費を出して引き取ってもらう、”逆有償”のゴミになってしまいました。社会を構成する、私たち1人1人がこの様な仕組みを考え直す必要が有ります。
7.おわりに
羊は大地の恵みを受けて育った牧草を食べて、紀元前3000年の昔から、ヒトの生存に必要な貴重なウールを提供し、ヒトと羊は共生して来ました。現在世界中には3,000種以上の羊が飼育されており、その数は約10億6,000万頭といわれています。ウール・羊毛は全世界の総繊維生産量のわずか3%に過ぎませんが、ヒトにやさしい、優れた性質を持った繊維であるばかりではなく、地球環境を破壊する物質が多い中で、地球にもヒトにもやさしい繊維です。人々は、緑の牧草で育った羊の毛を利用し、それを再び土に戻し、緑の草を育てる肥料としました。そして育った緑の草を食べて、また羊が育つ。このようにウールは「緑から緑へのエコロジカルサイクル」を結ぶ、まさに”21世紀の繊維”です。
(資料提供:ザ・ウールマーク・カンパニー)
ウール エコサイクル プロジェクトについて
ザ・ウールマーク・カンパニーでは、資源の無駄使いにストップをかけ、資源を有効に活かした利用法を提唱し、平成8年11月にウールエコサイクルプロジェクトを開始しました。地球環境の保護と環境改善の趣旨に賛同された企業・団体と一緒にウールエコサイクルクラブを設立し、タンスや押し入れの中で眠っている不要になったウールマーク付き衣料を回収し、緑化資材、油吸着材、建築資材などにリサイクルする活動をスタートさせました。この活動は紳士服業界で完全に定着し、店頭での古着回収はあたりまえになりました。
この活動は、すでにザ・ウールマーク・カンパニーの手をはなれ、企業ベースの取り組みにまで発展しています。
ベストウールクラブも、ウールの良さをふとんに生かし、皆様の健康で快適な生活のお役に立つと共に、何よりも大切な地球環境を守る為に、ザ・ウールマーク・カンパニーと伴に活動して行きます。